近年、アナログシンセ人気の再興によって、過去機種のリイシューだけでなく新設計のシンセサイザーもたくさん市場に投入されています。
モノフォニックのシンセに慣れて、次は念願のポリフォニックだ!となった筆者ですが、最初は値段に釣られてKORG Minilogueに目をつけました。
しかし、実際に使ってみると4ポリでは表現の幅が狭く、あまり実用的だと思えませんでした。
とはいえ、同社のPrologue 8や16(数字はそれぞれ同時発音数を示す)となると、10万円を大きく超えてくるので、最初の一台として買うにはハードルが高いです。
そこで10万円以下で買える6ポリ以上のアナログシンセを探していたところ、BEHRINGER DeepMindシリーズに出会いました。
今回はDeepMind6を購入しましたが、基本的な部分は全機種一緒です。
目次
音の感想
動画ではDeepMind12が紹介されていますが、DeepMind6もボイス数が12→6に減るだけで基本は一緒です。
インターフェイスが非常に似ていることからもわかりますが、DeepMindシリーズは伝説の名機Juno 106を意識して作られているようですね。
実にアナログらしい、ザラッとして太い「使える」音がします。
とはいえ、Junoの完全なクローンを目指しているわけではなく、目立った癖のない「扱いやすい音」という印象です。
複雑なルーティングを組めて、高品質なエフェクト群(TC Electronic等の実績豊富なメーカー製!)がついているおかげか、デジタル的な音色にもかなり対応できています。
パッドサウンドを作ってTCのディレイとリバーブをかけるだけで、3時間ぐらい気絶できますね。
各ボイスをそれぞれ違う方向にパン振りしたり、結構トリッキーなこともできるのはさすが最新機。
筆者のおすすめはずばりユニゾンデチューン機能。
各ボイスを重ねることで音を厚くするのですが、6ボイスを全て重ねて1ボイスとしてもいいし、2ボイス×3で3ボイスとして使ってもいいし、4+2で2ボイス…なんてこともできます。
これらはボイスの配分を考えるのが面白いうえに、ブ厚くて最高のサウンドを出せます。
これはモノフォニックのシンセにはない魅力です。
操作や制御について
DeepMind6のキーボードの質感・打鍵感は普通で値段相応といったところですが、両サイドの木枠も手伝って意外と高級感があります。
スライダー等は安心感のある触り心地で、ユルユルしないです。
モジュレーションとピッチのウィールがLEDで点灯しますが、効果の強さが光の明暗でわかって非常にグッド!
さて、今どき「MIDIやUSBでPCから制御やパッチの保存ができます」は当たり前すぎますよね。
でも、DeepMindは美しいインターフェイスの専用アプリがあり、ソフトシンセ感覚で使用できます。
シンセ本体のみで音作りしていると、小さな画面を見ながらプログラムの階層を潜っていかなければならず、なかなか疲れます。
「今何が起きているか」が一目瞭然なアプリの存在は大変ありがたいです。
さらに特筆すべきは、PC/MacだけでなくiPadとAndroidのタブレット端末にも対応していることです。
PCの画面を占領しないし、いちいちPCを立ち上げないでいいのもメリットですよね。
DeepMind6/12/12D買うべきはどれ?
「12ポリも使うかな?安いし省スペースだから6でいいや」こんな軽いノリで6を購入しました。
しかしボイス数が大いに越したことはないです。
(1)ピアノ系のフレーズを弾いたときに音色の途切れる(オールドシンセのファンで、それが良いという人もいますし、筆者もそういう気分だったのですが…)
(2)先のユニゾンデチューン機能はボイス数が多いほど音色・フレーズの自由度が高まる
(1)はまだ納得して買ったのですが、(2)はうっかりしていたとしか言いようがないです。
そしてボイス数の問題のみならず、12と12Dであれば、タブレット等との接続にUSB/MIDIだけでなくWi-Fiも使えるというメリットがあります。
12Dはキーボードがついていないモデルですから、すでに入力機器がある方は12Dを選択するとスペースを節約できますね。
まとめると「ボイス数が多いほうがいいし、Wi-Fi接続もできるので12か12Dを買おう!」です。
筆者のような「大型キーボードを持っていなかった」「在宅勤務用のラップトップを置くせいで机が狭い」環境だと、実はDeepMind 6はかなり好都合なのですが、ややニッチかもしれません。
まとめ
Behringerがアナログシンセに参入してすぐに出たので、少し忘れられている印象もあるDeepMindシリーズ。
その実態は「デジタル機器やプラグインにも負けない”使える”アナログシンセを作ろう」という大変な意欲作でした。
このボイス数と多機能がこの値段で手に入るなら、その使いやすさも相まってアナログシンセ使用者のスタンダードになる日も近いと思います。
今回はそんな魅力を少しでもお伝えできていれば幸いです。