今回はRoland Boutique シリーズのスタンダードラインナップとして、2019年に発売されたJU-06Aをレビューします。
※実は最初Boutiqueシリーズは台数限定として発売されたので、初期に発売されたJP-08などのモデルは販売が終了しています
目次
JU-06Aは往年の名機の復刻版
JU-06AはそれぞれJuno-60とJuno-106というシンセを現代のテクノロジーで復刻したシンセなので、まず復刻元のオリジナルシンセについて少し紹介させていただきます。
まずJuno-60は1VCO+サブオシレータの6ポリのアナログシンセとして登場しました。
デジタルで電圧を制御しているためより安定したチューニングを実現し、当時としては比較的安い価格(約23万)で販売されていて、世界中で爆発的にヒットしました。
その後Juno106がJuno60の後継機として登場し、エンベロープの位相切り替えやメモリパッチ数の増加などのパワーアップが施されたモデルとして販売されました。
ちなみに音の傾向は似ていますが若干106の方がブライトなイメージで、ハウスやテクノのミュージシャンが愛用し、最近だとJusticeやDisclosureなどが使用しているレジェンドシンセです。
(実はMIDI端子が搭載された世界初のシンセです!)
音の再現度ヤバイです!
Roland Boutiqueシリーズでは共通してACB(Analog Circuit Behavior)というアナログ音源を回路からデジタルで再現するコンセプトで設計されています。
アナログ回路をデジタルで再現しているので分類としてはデジタルシンセですが、その音はかなりアナログに近いです。
2020年に登場したRoland Cloudの激重のソフトシンセも音の再現度は高いですがCPUの負荷が高いので、ハード音源であるJU-06Aの方が使いやすいですね、、、、
右下のスイッチで60と106のシミュレーションを切り替えることができます。(1台で2台分の音が出ます!)
こちらはオリジナルと比較した動画ですがBoutiqueシリーズのポテンシャルの高さが伝わると思います。
※ちなみにオリジナルは6ポリですが、JU-06Aでは4ポリになっています。
4ポリが物足りない場合はもう一台JU-06Aを接続すると、JU-06A2台を同期させて8ポリ運用ができます。
USB一本でオーディオ録音もMIDI操作も!
このBoutiqueシリーズの1番のお気に入りポイントはUSB一本でオーディオ録音とMIDI信号のやりとりができることです。
筆者のデスク環境はかなり狭くミキサーが設置できないため、録音したい楽器を毎回オーディオインターフェースに接続しています。
JU-06AならMicro USB端子でパソコンと接続するとDAW側がオーディオインターフェースの一つとして認識するので、直接オーディオを録音することができます。
この仕様めっちゃ便利です!!!
あの”コーラス”も完全再現
Rolandといえばジャズコや、CE-1など”コーラス”のイメージが強いですが、オリジナルのJunoにも内蔵エフェクトとしてコーラスが搭載されています。
JU-06Aではそのコーラスも完璧に再現しており、左右に広がるステレオ感が本当に病みつきになります。(パッド系のサウンドはもちろんベース系のサウンドとの相性も抜群です。)
ちなみにJunoのコーラスはONにするだけで”サー”とノイズが乗りますが、JU-06Aではそこも完全に再現されています。(ノイズが乗らないとJunoのコーラスとは言えません!)
オリジナルは手に入るの?JU-06とどっちが良い?
106/60のサウンドが欲しい方は基本的にJU-06Aの方が良いと思います。
オリジナル特有の問題として基盤が経年劣化でやられているモデルに当たる可能性が非常に高いです。(音が出なかったり、ガリノイズが乗ったり、なぜか6ポリが5ポリになったり、、、笑)
解決方法としては海外からクローンのカスタムチップを取り寄せて修理するのが良いですが、流石に面倒臭いのと、音源モジュールだけ欲しいのであればオリジナルのデカイサイズに部屋のスペースを割く必要は無いです。
ライブでゴリゴリに弾き倒したいという方でなければ、JU-06Aの方がコンパクトかつ経年劣化に悩まされることはありません。
まとめ
JU-06Aに限らずBoutiqueシリーズはどれもデザインの再現度も非常に高いので、持っているだけでテンションが上がります。
また地味に本体にスピーカーやステップシーケンサーも内蔵されているので、手に取ってすぐに音を出して遊ぶことができます。
この手軽さが創作意欲を失わせないローランドの工夫ですね、、、
クオリティが高く、とにかく使ってて楽しいのがこのJU-06Aです!
※またBoutiqueシリーズ共通の専用MIDIキーボードも発売されています。
本体に装着してキーボード付きシンセとして運用することができるので、ライブで使用する方やキーボードで弾き倒したい方にはオススメです〜。